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つみあげログです

お悩み相談SNSをつくるとして、どんなデザインにするかのドラフト

おもしろそうなプロダクトのアイディアが思い浮かんだのでメモを取ってみることにする。 今回デザインするのは「お悩み相談SNS」。

雑に書いていく。

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お悩みを相談したいユーザーを解決に導くサービス。 回答できそうなユーザーとマッチングさせ、解決方法を提案してもらうのが主な解決方法。

ちょうど Yahoo 知恵袋とか Quora とか、Stack Overflow のようなものを想定している。

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質問者は「困っている」をきっかけに質問したくなるものの、回答者は「質問を聞きたい」「工数を割きたい」というきっかけが存在しない。

この手の SNS ではそれでも回答者が存在する。

  • 親切で世話焼きだったり、他人の悩みを聞くことが好きな人が世の中にいるから
    • 人助け自体や、人に教えることで勉強になるから、とかの内在的なインセンティブがある
  • 知恵袋のコインのような外在的なインセンティブがあるから

これは、「回答者のひとたち」=「インセンティブが有効なひとたち」≠「答えを持っているひとたち」という図式になっている。 また、「話し上手な人たち」「他者に介入することをためらわない人たち」なんかも回答者にありがちなユーザー属性だと思う。

本来は「よい回答」や「よい質問を引き出す(≒コーチングスキル)」ことが解決に必要なのだと思うのだが、 そうした部分をユーザー規模の大きさによってラフに担保しているのが従来のお悩み相談SNSである。

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Stack Overflow は回答者にありがちなユーザー属性という制約をスマートに解決していて、回答の Vote 機能によって、その回答の有効性を判断することができるようになっている。

これによって、「回答するのはちょっと嫌だけど、↑↓ボタンは押せるユーザー」を回答者のコミュニティに参画させているし、 UI としても質のよい回答にたどり着きやすいようになっている。

なによりボタンを押すくらいの軽い負荷はたいしたインセンティブを必要としないし、「この回答まちがってる!」「この回答でうまくいった!」という感情の動きがあるから、ボタンを押すだけの理由がある。 実際、この機能はうまく機能しているように見える。 ほんとのところは有効性や機能している理由を検証してみたいが、ぼくの側にインセンティブがないのでやめておく……。

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回答それ自体にも目を向けてみよう。

Yahoo 知恵袋なら雑談のような浅めの回答が多いが、 Stack Overflow なら自分の解決策のコード片や、公式ドキュメントや GitHubソースコードへのリンクを付ける深めの回答が多い。 そもそも悩みの解決法は求めていなくて、共感されたり一緒になって泣いたり怒ってくれたりすることで精神的に救われることが正しい回答なときは、そうしてくれそうなともだちに LINE するとかもあるだろう。

これはコミュニティにいるユーザーや、コミュニティが持つ空気に引っ張られているということだし、 質問者がある程度解決方法に目星をつけたうえで質問を行っているということでもある。

なので、質問も回答も、これまでの回答の方向性や、質問者の目星のつけ方に制約される。

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まず、客観的な意見が欲しいのであれば現代なら ChatGPT に聞けばいい。

回答者コミュニティの制約である「インセンティブが有効」「話し上手」「他者介入をためらわない」あたりのユーザー属性に引っ張られず、純粋に集合知を参照するからだ。 いくらでも(APIの利用上限までは)付き合ってくれるから、質問者としても質問しやすいだろう。

ただ、その回答の質は、質問の仕方やLLMの使い方に習熟しているか(e.g. プロンプトエンジニアリング )に引っ張られる。 質問がすかすかだったり、提供した情報が一面的な場合は、得られるべき答えが得られないとか、追認バイアスを満足させるだけに終わることもあるだろう。

たとえば、「こういう疑念があります、なぜならこういう状況証拠があるからです、どう思いますか」という質問から出発すると、 そこに書いた状況だけで判断ようとし、疑念が正しそうかそうでなさそうかの形式で回答がかえってくることが多い。

質問それ自体の方向性・客観性・質が問われるということだ。よい質問や判断材料を引き出したり、回答の形式を変えたりといった、うまい回答者として振舞わせるための質問者側の工夫が必要になる。

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これからお悩み相談SNSをつくろうとするなら、このあたりを工夫することになるだろうか。

  • よい質問を組み立てられるように支援する
  • LLM を回答者として組み込む
  • コミュニティの幅を広げる
    • 既存のコミュニティや既存の質問・回答に、新規の質問・回答内容が左右されないようにする
      • ランディングページに新しい順で質問を表示せず、質問ジャンルや回答の深さをバラけさせて表示させるようにする
  • ユーザーの導線の作り込み
    • サービス外部に質問を表示する(たとえば会社・学校のデジタルサイネージや Slack の DM)
    • いままでにないインセンティブの作り込み
      • 会社の評価制度に紐づけるとか
      • みんなが欲しいインセンティブをつくるのはスタートアップ単体では難しそうなので、企業や自治体のような大きめのコミュニティとパイプをつなげられる前提で考えてもいいかも
  • 質問を書く、回答を書く以外の方法で質問・回答ができるようにすること
    • 「こういうお悩みはありませんか」、だとやぼったいか、「中長期的なキャリアってありますか?」とシステム側が疑問の芽を育てる提案をするとか
      • キャラクターやデザインを使えば特定の雰囲気醸成はできるが、そこはペルソナによる
    • 作業の手が止まった時、効率の悪い操作をしていそうなときに割り込むとか
    • ボタンを押すだけで Vote できるとか
    • GitHub Copilot の OSS のコードの提案のようなものとか
  • ぶっちゃけ心理的障壁をなくせば質問しやすくなるので、交流機会をつくることに注力する
    • 会社の場合なら、新人がほかの人に質問しやすくなるようにするために一緒に遊んだりチームビルディングをがんばる、とか

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考えが発散してきた。

前提のどの部分を再解釈するとか、ペルソナとかを決めればもっと価値があって面白い発想ができそうだ。 誰のどんな困りごとを解決したいかというと今のところ自分にはなにもないので、今日はここでいったんやめておく。